こんにちは、ガロガロニーです!
業種業界を問わず活用が広がる「人工知能(AI)」ですが、日本におけるAI導入状況は、中国やアメリカ、その他の欧州主要国と比較しても遅れをとっています。
総務省の調査でも、残念ながら我が国のAI導入状況は、7か国中最低となっています。
日本のデータ内訳を見ると、一部の業務に対するAI導入率は、試験的なパイロット運用で28%、本格的な運用で11%にとどまっています。1年以上継続してAIを運用できている割合はさらに少ないでしょう。
一方で、業務やシステムにAIを導入したいと考える企業は年々増え続けています。特に労働力不足に悩む流通業や製造業の需要は大きく、今後はAI活用による省力化や自動化が期待されています。AI活用が様々な業種から求められている中、企業がAIをうまく導入できないのはなぜでしょうか?
原因はいろいろとあると思いますが、多くの企業がAI導入の最初の要件定義の段階で躓いていることが多いです。今回はAI導入の要件定義で失敗するパターン3選を紹介していきます。
ビジネス上の目的が明確でない
AI導入の目的が明確に決められていないケースが多いです。自社のビジネス上の課題に対して、AI導入が十分な解決策となっていなければなりません。開発しようとしているAIが本当に課題解決につながるのか、どんなメリットがあるのか、その構想は実現可能か、などを考える必要があります。
安易な目的設定をしてしまうと、いくらAIエンジニアやデータサイエンティストたちが優秀でも、AI導入はうまくいきません。AI導入によって狙うべきビジネス上の目的を明確にすることが重要です。これはエンジニアよりも、むしろ経営者の方が得意な分野だと思います。しかし、経営者のAIに対する知識が不足し、目的設定がうまくいっていないケースも珍しくありません。そのため、経営者も最低限のAIリテラシーを身につける必要があります。
AI導入がうまくいっている企業は、経営者がAIモデルの推論結果をビジネスにどう活かすか、よく考えられている場合が多いです。そのあたりを慎重に検討し、AI導入を進めていきましょう。
万能のAIを想定してしまう
万能のAIを想定して、目的が絞り切れていない場合がよくあります。例えば、小売業において店舗ごとの需要を予測し、商品発注を支援するシステムを想定しましょう。どのような目的が挙げれられるでしょうか?例えば以下の例を挙げてみました。
- 発注漏れ防止による売り上げ向上
- 在庫廃棄率の低下によるコスト低減
- 商品需要の傾向を従業員に通知することによる顧客への商品提案力の強化
- 顧客の潜在的な購買欲求を把握し、意外性のある品ぞろえの実現
これらの全ての目的をひとつのAIモデルで実現することは非常に難しいです。一定のコストとスケジュールでプロジェクトを進めるためには、実現性のある目的を設定しなければなりません。複数の観点で何を優先するかで目指すべきポイントも変わってきます。例えば、「在庫廃棄率の低下によるコスト低減」を目的にするのであれば、AIには高い予測精度が必要となります。「顧客への商品提案力の強化」の場合は、精度よりもAIがなぜそのような予測をしたか分かる解釈性の高いAIアルゴリズムを選択する必要があります。
AIシステム構築の目的や効果の定量化の手段として、KGI(Key Goal Indicator)やKPI(Key Performance Indicator)などがあります。これらを念頭に置いて議論を進めることで、複数の観点で構築目的が挙がった場合、目指すべき指標をより具体化し、目的間の優先順位をつけやすくなるので、ぜひ活用してみてください。
AIを採用しないという選択が取れない
AIは自社の課題を解決するための強力なツールになるのは間違いないですが、すべての目的をAIで満たそうとするとうまくいかないことが多いです。要件を整理し、あえてAIを採用しないケースを検討することも大切なポイントになります。
要件を整理したとき、システム全体を見渡すと、AIでの実装が向いている機能とこれまで通りのシステムで実現した方が効率的な機能が混在していることがあります。
例えば、AIは過去のデータから統計的に予測するため、イレギュラーな予測・判断を正確に行うのは苦手な傾向にあります。このような場合、AIの予測結果よりもシステム内にルールベースでロジックを用意しておく方が有用な場合もあります。
くれぐれもAIを使うということにこだわりすぎないようにしましょう。
まとめ
今回はAI導入の業務要件定義で失敗するパターンを3つ挙げました。具体的には以下の通りです。
- ビジネス上の目的が明確でない
- 万能のAIを想定してしまう
- AIを採用しないという選択ができない
上記の3つを改善するだけでも、AI導入の最初の壁は突破しやすくなるので、ぜひ参考にしてください。それではまた!
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